こんにちは、みっちゃんです。

今回の記事では、有名科学誌であるサイエンス(Science)の姉妹誌から以下の記事を紹介します。

※記事のエッセンスだけ抜き出して初心者向けに紹介していますので、内容の詳細に興味がある方は(当然ですが)原著論文をご参照ください。

紹介記事(Reference)
Hoh, R.A. et al., Origins and clonal convergence of gastrointestinal IgE+ B cells in human peanut allergy, Science Immunology 5, eaay4209 (2020).



みなさんにとって「食物アレルギー」は身近でしょうか?

「食物アレルギー」は、体を守る働きをする「免疫」によってじんましんなどの症状が起こることですが、それに胃腸が関わっているのではないかという報告です。

目次(まとめ)
- 「食物アレルギー」は近年患者数が増加している疾患
- アレルギーに関わる「免疫グロブリンE陽性のB細胞」が胃腸に豊富に存在
- 参考文献

「食物アレルギー」は近年患者数が増加している疾患

「食物アレルギー」とは、ヒトが体を守るためにもっている「免疫」の機能により、摂取した食べ物によりじんましんや湿疹などを生じてしまう疾患です。

昔は「食物アレルギー」を患う人は少なかったようですが、近年、日本や欧米を中心に増加しています。

アメリカでは、全人口のうち3〜6%の人が「食物アレルギー」と言われています。

特に「ビーナッツアレルギー」は、体の反応が深刻で、子どもから成人になっても持続的に悩まされるという特徴があるそうです。

アレルギーに関わる「免疫グロブリンEを産生するB細胞」が胃腸に豊富に存在

「食物アレルギー」の多くは「免疫グロブリンE(IgE: Immunoglobulin E)」というタンパク質が関わっています。

「免疫グロブリンE」は、体の中に入ってきた物質から、体を守る機能を持っている抗体で、日本人によって発見されました。

また「B細胞」とは、免疫細胞であるリンパ球の一種であり、抗体を産生する役割をもっています。

「B細胞」の中でも、特に「免疫グロブリンE」を産生するB細胞について、これまでのピーナッツアレルギー研究で注目されてきました。

しかし、それらの研究の多くは、「血液」中のB細胞に注目していました。

なぜなら、「血液」のサンプリング(測定)が簡単だったためです。

この研究では、「血液」以外に「食道」、「胃」、「十二指腸 」といった組織について、19人のピーナッツアレルギー患者 からサンプリングして、調査を行いました。

調査の結果、「免疫グロブリンEを産生するB細胞」が胃腸に豊富に存在することが明らかとなりました。

参考文献

食物アレルギー - 厚生労働省 Webサイト

英語学習者向けのメモ

*gastrointestinal:胃腸の
*millions of:数百万の
*peripheral blood:末梢血
*esophagus:食道
*duodenum:十二指腸
*plasma cell:プラズマ細胞
*predominantly:主に
*clonally related:クローン的に関連した
*rearrangements:再配列
*pathogenesis:発症メカニズム
*reservoir:保有宿主
*prevalence:患者数
*persistence:持続
*adulthood:成人期
*marked by 〜:〜を特徴とする
*hypersensitivity:過感受性
*cross-linking:架橋結合
*mast cell:肥満細胞
*blood basophils:血中好塩基球
*serum:血清
*anatomic:解剖学の