こんにちは、みっちゃんです。

今回の記事では、有名科学誌であるネイチャー(Nature)から以下の記事を紹介します。

※記事のエッセンスだけ抜き出して初心者向けに紹介していますので、内容の詳細に興味がある方は(当然ですが)原著論文をご参照ください。

紹介記事(Reference)
Douglas Heaven, Why faces don’t always tell the truth about feelings, Nature 578, 502-504 (2020)


みなさんは、ヒトの顔の画像を見るだけで、そのヒトの感情を読み取れますか?

この紹介記事では、ヒトが表情からどんな感情を読み取るのか、という点を追求した研究について紹介されています。

目次(まとめ)
- 表情は、そのヒトが置かれている場面によって簡単に変化する
- ダーウィンさんも、ヒトの表情についての研究を行なっていた
- 表情から感情を読み取る技術は、さまざまな場面で利用される

表情は、そのヒトが置かれている場面によって簡単に変化する

歴史的には、ヒトの表情から感情を理解することは簡単だと思われてきました。

アメリカの心理学者は、1960年代から1970年代にかけて「感情表現は世界共通であり、表情から感情を正しく読み取ることができる」と主張しました。

この主張に対して、みなさんどのように思われるでしょうか?

例えば、サッカー選手がゴールを決めた際に、顔をくしゃくしゃにしながら、一目見ると苦しんでいるような表情を見せることがあると思います。

しかし、その「表情」が示すのは「苦しみ」ではなく「嬉しさ」ですよね。

つまり、表情はとても複雑で、見た目上同じような表情であっても、どういう状況にあるヒトの表情なのか、どういう文化をもつヒトの表情なのかによって、その意味合いが変わってくるということです。

そもそも、ヒトの表情を形作るのは、ヒトの顔に存在する43個もの筋肉です。

つまり「嬉しさ」1つをとっても、それを表現する筋肉は多数あるということです。

最近では、1つの表情も、さまざまな感情の組み合わせの結果という指摘もあります。

ダーウィンさんも、ヒトの表情についての研究を行なっていた

チャールズ・ロバート・ダーウィン(Charles Robert Darwin)さんは、イギリスの有名な自然科学者です。

ダーウィンさんの有名な業績は「種の起源」です。

この中で、生き物が「自然選択」というプロセスを経て、進化していくということを提唱しています。

つまり、その生き物が生活する環境にうまく適応して、生き残った生き物だけが今に残っているという考え方です。

このダーウィンもまた「ヒトや動物の感情表現」について研究していました。

ヒトが社会の中で過ごしている状況では、「表情」はコミュニケーションのための1つのツールとなっていますが、進化の観点で見ると、つまり、ヒトがサルから進化してきた、ということを考えると、「表情」は病原体から身を守るために生まれたのではないか、とダーウィンは主張しました。

表情から感情を読み取る技術は、さまざまな場面で利用される

表情から感情を読み取ることは、さまざまな場面で有用です。

例えば、裁判などで被告人の心理を読み取る場面や、テロを引き起こそうとする人を発見する際にも重要な手がかりとなります。

そのような利用が妥当であるかどうかは議論がありますが、MicrosoftやIBM、Amazonといった大企業だけでなく、さまざまな中小企業が表情から感情を読み取るためのアルゴリズムを開発しています。

ただし、感情を読み取ることは非常に難しいという事実には注意が必要です。