こんにちは、みっちゃんです。
今回の記事では、有名科学誌である米国科学アカデミー紀要(PNAS; Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)から以下の記事を紹介します。
※記事のエッセンスだけ抜き出して初心者向けに紹介していますので、内容の詳細に興味がある方は(当然ですが)原著論文をご参照ください。
紹介記事(Reference)
Kriegman, S. et al., A scalable pipeline for designing reconfigurable organisms, PNAS 117, 1853-1859 (2020).
近年「マイクロプラスチック」の問題が報じられるようになり、プラスチックを減らすためのさまざまな取り組みが行われるようになってきました。
今回の記事で紹介する論文では、生物を使った材料開発を誰でも行えるような仕組みづくりに関する研究成果が紹介されています。
目次(まとめ)
- わたしたちの生活は、生態系において有害なもので溢れている
- 生物を構成している物質を使って材料を開発することが重要
- デザインから実現化まで誰でも行えるような、人工知能を利用したアプローチ
わたしたちの生活は、生態系において有害なもので溢れている
私たちの身の回りにあるものは、地球、あるいは、生態系にとって有害です。
例えば、鉄やコンクリート、化学製品やプラスチックなどです。
これらの材料は、長い時間をかけて分解され、生態系に対してはもちろん、人体に対しても悪影響を及ぼします。
生物を構成している物質を使って材料を開発することが重要
それでは逆に、生態系にとって、有害でない材料はあるのでしょうか?
理想的な候補となりうる材料は、「生物を構成している物質」からなる材料です。
例えば、ゾウリムシなどの単細胞生物(1つの細胞からなる生き物)などにおいて、遺伝子操作をして、望むような生き物に変えることは、技術的には可能です。
一方、もちろんヒトのような多細胞生物(多くの細胞からなる生き物)に対して同様の操作をすることは、技術的にも、倫理的にも不可能です。
とはいえ、何か新しい生物材料を作り出すということは、非常に難しいという問題がありました。
デザインから実現化まで誰でも行えるような、人工知能を利用したアプローチ
この研究では、生物材料をデザインして実現化するためのアプローチが開発されました。
このアプローチで活躍するのは、いま流行りの「人工知能」です。
作りたい材料の機能の希望を入力すれば、人工知能が、その希望に沿って、適当なデザインを提案してくれます。
例えば、「何かの病気の治療薬を、患部にだけ届けたい」という希望を満たす生物材料(マシン)を作り出すことができるようになるかもしれません。
現状では、いくつか手動操作のステップがあるようですが、近い未来に完全自動化されたシステムができるかもしれません。
英語学習者向けのメモ
*reconfigurable:再構成可能な
*organism:有機体
*self-renewing:自己複製
*biocompatible:生体適合の
*living system:生体
*from the ground up:最初から
*remediation:改善
*adopt:採用する
*supportive:させる
*lifeforms:生物形態
*limited to 〜:〜に限られる
*varying:さまざまな
*transferable:移転可能な
*intervention:介入
*pave the way:道をひらく
*bespoke:オーダーメイドの
*deploy:配置する