目次(まとめ)

◾️ 条件付き期待値や分散を求めるために相関係数を用いる

◾️ 参考文献

◾️ 関連記事


こんにちは、みっちゃんです。

今回の記事では、2012年に行われた統計検定1級の統計数理の問題(問5)を取り上げて、解答を得るための方針について解説します(問題の詳細については、参考文献などをご覧ください)。

この問題では、3つの確率変数 \(X, Y, Z\) について、期待値 \(E[X] = E[Y] = E[Z] = 0\)、分散 \(V[X] = V[Y] = V[Z] = 1\)、\(X\) と \(Y\) の共分散が \(\rho_{xy}\)、\(X\) と \(Z\) の共分散が \(\rho_{xz}\)、\(Y\) と \(Z\) の共分散が \(\rho_{yz}\)と与えられているときに、さまざまな条件付き確率を求めていきます。

条件付き期待値や分散を求めるために相関係数を用いる

この問題では、\(X = x\) が与えられたときの \(Y\) の条件付き期待値 \(E[Y | x]\) と条件付き分散 \(V[Y | x]\) が求められています。

まず、条件付き期待値を考えていきます。

条件がなければ、当然、\(E[Y] = 0\) となるわけですが、確率変数 \(X\) の条件がついているので、\(X\) の影響を考える必要があります。

標準正規分布にしたがう \(X\) の影響を考えるために、以下のような式を考えます。
$$E[Y | x] = E[Y] + {{\rm Corr}(X, Y) \sqrt{V[Y]}} x$$
ここで、\(\sqrt{V[Y]}\) は \(Y\) の標準偏差、\({\rm Corr}(X, Y)\) は相関係数(correlation coefficient)で、以下のように計算することができます(詳しくはこちらの記事をご参照ください)。
$${\rm Corr}(X, Y) = \frac{\rho_{xy}}{\sqrt{V[X]V[Y]}}$$
これを計算すると、この条件付き期待値は、以下のように表現されます。
$$E[Y | x] = \rho_{xy} x$$


一方で、条件付き分散です。

条件がなければ、当然、\(V[Y] = 1\) となるわけですが、確率変数 \(X\) の条件がついているので、\(X\) の影響を考える必要があります。

この影響を考えるために、以下のような式を考えます。
$$V[Y | x] = V[Y] \times {1 - {\rm Corr}(X, Y)^2}$$
これを計算すると、条件付き分散は、以下のように表現されます。
$$V[Y | x] = 1 - \rho_{xy}^2$$

参考文献

- 日本統計学会「統計検定1級 公式問題集」実務教育出版
- 久保川達也「現代数理統計学の基礎」共立出版

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