目次(まとめ)

◾️ 作曲には「感性」だけでなく「数学」が必要

◾️ 楽器の個性を理解して、バラエティ豊かな楽曲を生み出す

◾️ 楽譜として音楽が記録されるようになった経緯

◾️ レビュー書籍


こんにちは、みっちゃんです。

今回の記事では、2019年9月に講談社より出版された「作曲の科学 美しい音楽を生み出す「理論」と「法則」」を紹介したいと思います。

"音楽が音楽になる仕組み" に興味がある方には、おすすめです。

作曲には「感性」だけでなく「数学」が必要

著者のフランソワ・デュボワさんは、フランス出身の音楽家であり、木琴の一種である「マリンバ」の奏者です。

音楽一家に生まれたということもあり、10代でプロ奏者になったという経歴の持ち主です。それに並行して、作曲に取り組んできたということで、本書では最後の第4章でプロのテクニックとして「作曲の極意」が紹介されています。

音楽家の間で「作曲とは数学である」と言われることから、第1章と第2章では、作曲を「足し算」と「掛け算」にたとえて、音楽理論が展開されています。

音楽理論というと難しいイメージがあるかもしれませんが、本書ではとても分かりやすく解説がされており、例えば「"4分音符" と "4分音符" を足すと "2分音符" になる」といった時間方向の足し算の話からはじまります。

私は幼少の頃からピアノを習っていたこともあり、このような基本事項については知っているつもりだったのですが、いま改めて読むと、「あ、4分音符は符頭(ふとう)と符尾(ふび)と符鉤(ふこう)からなっていたんだ」「あ、ト音記号にはそういう意味があったんだ」といった多くの気付きがありました。


また、音と音の重なり、つまり、ハーモニーについては「掛け算」にたとえて、紹介されています。

本書を読む前は、なんだか明るい曲は「長調」、暗い曲は「短調」といった程度の知識しかなかったのですが、本書を読むことで、なぜそのような曲調の違いが生まれるのか、といった点を数学的に理解することができました。

楽器の個性を理解して、バラエティ豊かな楽曲を生み出す

みなさんは「楽器の個性」と聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか?

わたしは「個性といっても形が違うぐらい?」「コントラバスのように大きい楽器は低い音を出しがち」といった印象をもっていました。

本書では、約15個の楽器について、それぞれの楽器が出すことができる音域に関する図が掲載されています。

コントラバスの例のように、その音域は楽器によってさまざまであることがわかります。また、コントラバスで出すことができる高音域は、バイオリンの低音域と重なっていることもわかります(つまり、バイオリンでもコントラバスが出す音を出せる)。

出せる音域は楽器によってさまざまですが、最も広い音域をもち、いろいろな音を出せる楽器が「ピアノ」です。

このように、どの楽器がどのような音を出すことができるのか、理解することが楽曲を作曲する際には欠かせないことのようです。

楽譜として音楽が記録されるようになった経緯

音楽といっても、その種類はさまざまです。

地方にいけば、伝統芸能のような形で、楽譜としての形はないけれども、歌い続けられている唄もあり、貴重な音楽の一つだろうと思います。

本書では、楽譜としての形を持たなかった音楽が、楽譜という形を形成していく歴史的な過程についても紹介されています。

最も重大な契機は「決められた通りに歌いなさい」という政治的な取り決めだったようです。この取り決めが結果的に良かったのか悪かったのかは分かりませんが、今でもなお、昔の音楽に触れることができるということになっています。

レビュー書籍

- フランソワ・デュボワ「作曲の科学 美しい音楽を生み出す「理論」と「法則」」講談社