こんにちは、みっちゃんです。

2019年末、みなさんお馴染みのアメリカの大企業「Google」が、ある研究成果をネイチャーというイギリスの有名科学雑誌に報告しました。

その研究成果とは「現在のスーパーコンピューターが1万年かけて解くような複雑な計算問題を、たった数分間で解くことができる量子コンピュータを開発した」というものでした。

今回の記事では、量子コンピュータと現在主流のコンピュータを比較しながら、量子コンピュータの利点を紹介したいと思います。

目次(まとめ)
- 現在主流のコンピュータは「ビット」を用いた処理を行う
- 量子コンピュータの基礎理論はドイチュさんによって構築された
- 量子コンピュータは「量子ビット」を用いた処理を行う
- 参考文献

現在主流のコンピュータは「ビット」を用いた処理を行う

現在主流となっているコンピュータは、ほぼ全て「ノイマン型コンピュータ」です(ノイマン型コンピュータについては、以前の記事をご覧ください)。

ノイマン型コンピュータは、古典力学の枠組みで開発されたコンピュータであるため「古典コンピュータ」とも呼ばれます。

計算などの処理には、"0"か"1"という2つの数字(binary digit)が使われています。

この"binary digit"を略して「ビット」と呼ばれています。

コンピュータの中では、ビット(1/0)は電気のオン/オフに対応しています。

量子コンピュータの基礎理論はドイチュさんによって構築された

量子コンピュータのアイデアは、1985年に英国の物理学者「デビット・ドイチュ(David Deutsch)」によって発案されました。

参考文献によると、ドイチェさんは当時、「重ね合わせ」という現象を解釈する考え方である「平行宇宙論」に関心をもち研究を進めていたそうです(重ね合わせについては、以前の記事をご覧ください)。

上に述べたように、古典力学の枠組みで開発された「ノイマン型(古典)コンピュータ」は、人間が決めた"0"か"1"という2つの数字に基づいていました。

ドイチェさんは、すべてのものが物理法則に従うはずであるから、"0"か"1"という2つの数字だけでコンピュータを開発するべきではないと思いついたそうです。

量子コンピュータは「量子ビット」を用いた処理を行う

量子コンピュータは「ビット」ではなく「量子ビット」を使用します。

つまり、"0"と"1"という2つの状態だけではなく、その間の「重ね合わせ」の状態も考えるということです。

以前の記事を例にあげると、「生きている」状態と「死んでいる」状態だけでなく、その間の「生きていて死んでいる」状態を考えるということです。


量子ビットは、「ケット(|>)」という記号で囲んで表記します。

例えば、量子ビットが"0"という状態にあれば「|0 >」、"1"という状態にあれば「|1 >」と表記します。


この量子ビットを用いることで、より多くの情報を取り扱えるようになるという利点が考えられ、これまでのコンピュータでは不可能だった計算などが可能になります。

参考文献

- 竹内繁樹「量子コンピュータ」講談社ブルーバックス
- Arute et al., Quantum supremacy using a programmable superconducting processor, Nature 574, 505–510 (2019) https://www.nature.com/articles/s41586-019-1666-5