-
目次(まとめ)
- ◾️ 行列のかけ算は、前の行列の列数と後の行列の行数が同じときだけ可能
- ◾️ (おまけ)LaTeXで行列を書く方法
- ◾️ 参考文献
2つの行列のかけ算をしたいんだけど、どうやったらかけ算することができますか?
行列は、いろいろな分野でとても便利なんだけど、少し取り扱い方に慣れるまでは大変ですよね。
行列のかけ算は、片方の行列(前の行列)の列の数と、もう片方の行列(後の行列)の行の数が同じときだけ定義できます。
今回の記事では、行列のかけ算の仕方を復習します。
行列のかけ算は、前の行列の列数と後の行列の行数が同じときだけ可能
まず、行列の "行" と "列" が何を意味しているのか、確認します。
行は「縦方向」、列は「横方向」に並んでいます。
したがって、「5行3列の行列」と言われたら、以下のように、縦方向に5個、横方向に3個、数字が並んでいる行列 \(A\) になります。
$$A = \left(\begin{array}{rrr}2 & 1 & -3 \\6 & 2 & -4 \\-5 & 3 & 3 \\2 & 1 & -3 \\1 & -5 & 2\end{array}\right)$$
また、「3行4列の行列」である、以下のような行列 \(B\) を考えます。
$$B = \left(\begin{array}{rrr}2 & 1 & -3 & 8\\6 & 2 & -4 & 3\\-5 & 3 & 3 & -3\end{array}\right)$$
いま、行列 \(A\) と行列 \(B\) のかけ算を考えるとき、\(A\) と \(B\) の積 \(AB\) は可能ですが、\(B\) と \(A\) の積 \(BA\) は不可能です。
なぜなら、2つの行列のかけ算を考えるとき、前の行列の列数と、後の行列の行数が同じである必要があるためです。
\(A\) と \(B\) の積 \(AB\) の場合、前の行列 \(A\) の列数は「3」、後の行列 \(B\) の行数は「3」となり、同じ数なので、かけ算することができます。
しかし、\(B\) と \(A\) の積 \(BA\) の場合、前の行列 \(B\) の列数は「4」、後の行列 \(A\) の行数は「5」となり、同じ数ではないので、かけ算することができません。
これを忘れてしまうと、無理やり、間違った行列のかけ算をしてしまう場合があるので、覚えておきましょう。
\(A\) と \(B\) の積 \(AB\) は「5行4列の行列」になります。
「5行3列の行列」と「3行4列の行列」をかけると、「5行4列の行列」になるわけです(同じ数字のところ隠したようなイメージです)。
「5行4列の行列 \(AB\)」には、20個(= 5 × 4)の数字が並ぶわけですが、\(AB\) の1行1列目の数字は、\(A\) の1行目と \(B\) の1列目の数字を要素ごとにかけて足すことで出すことができます。
数字で示すと、以下のようになります。
(\(AB\)の1行目1列目の要素)= \( 2 \times 2 + 1 \times 6 + (-3) \times (-5) = 25 \)
(おまけ)LaTeXで行列を書く方法
LaTeXでは、数式をきれいに表示させることができますが、ここでは行列の書き方を紹介します。
\[ A = \left( \begin{array}{rrr} % l:左構え c:中央構え r:右構え 2 & 1 & -3 \\ 1 & -5 & 2 \end{array} \right) \]
表示させると、以下のようになります。
$$A = \left(\begin{array}{rrr}2 & 1 & -3 \\1 & -5 & 2\end{array}\right)$$
また、省略記号(\(\cdots, \ldots, \vdots, \ddots\)) を挿入したい場合には、以下のようなコマンドが使えます。
省略記号 | 意味 | 表示 |
\cdots | 水平の点々(中央) | \(\cdots\) |
\ldots | 水平の点々(下付き) | \(\ldots\) |
\vdots | 垂直の点々 | \(\vdots\) |
\ddots | 斜め右の点々 | \(\ddots\) |
参考文献
今回の記事では、行列のかけ算の仕方をおさらいしました。三宅先生の著書(入門線形代数)はとてもわかりやすいので、行列を習い始めた大学生にはお勧めです。