こんにちは、みっちゃんです。

今回の記事では、2019年夏に光文社より出版された新書「「家族の幸せ」の経済学」を紹介したいと思います。

この本は、以下のような疑問をもつ方にオススメです。
- 出産や子育てにまつわる経験的な知見があるけれども、本当に正しいのか?
- 恋愛事情や結婚観について、データ解析を介して何かわかるのか?

目次(まとめ)
- 自分のイメージとデータが示す事実を擦り合わせる
- (私見)欲しいデータがあれば、それを収集できるアプリを開発すれば有用
- (私見)データ解析から因果関係を明らかにすることは難しい
- レビュー書籍 / 参考文献

自分のイメージとデータが示す事実を擦り合わせる

本書では、結婚、赤ちゃん、育休、イクメン、保育園、離婚といった6つのトピックについて、経済学の視点からデータに基づく考察がされています。

経済学は「人々がなぜ・どのように意思決定し、行動に移すのかについて考える」学問だということで、これらの6つのトピックも経済学が取り扱うべき領域ということでした。

私も本書を読みまで「結婚年齢が遅くなっている」とか「赤ちゃんは母乳で育てるのがいい」とか「育休が取りづらい」とか、漠然としたイメージを持っていました。

本書の中では、これらの事柄が本当に正しいのか、データから読み取ることができることに基づき、詳細な考察がなされています。

例えば、以下のようなことが紹介されています。

- 低体重で生まれる子どもが多くなってきた一因として、低体重で生まれても死なずに生き延びられるような医療技術が確立されてきたことが挙げられる。

- 帝王切開が、本来の目的とは異なる目的で実施される傾向がある。


残念ながら、日本におけるデータが取得しづらいという現状があり、一部のトピックに関する考察は、海外のデータに基づくものもありますが、興味深い内容だったと思います。

(私見)欲しいデータがあれば、それを収集できるアプリを開発すれば有用

結婚に関して、最近日本でも主要なツールになりつつある「マッチングアプリ」を介した恋愛について紹介されていました。

このマッチングアプリの登場により、そのアプリに登録されたデータ(個人を特定できないように配慮されたデータ)を解析して、登録者の恋愛観を探ることができるようになったようです。

データ解析を行う立場の人間からみれば、「このようなデータが欲しい」と思った時に、そのデータをうまく収集できるようなアプリを開発すれば、データ収集の一助になるということだと認識しました。

データを登録する立場の人間からみれば、「登録した情報がどのように使われる可能性があるのか」を事前に認識しておく必要性があると思います。

(私見)データ解析から因果関係を明らかにすることは難しい

データ解析の難しさの1つは、因果関係を明らかにすることだと思います。

例えば、「アイスクリームが売れた」というデータが与えられた時に「広告の効果によりアイスクリームが売れた」のか「気温が上がったからアイスクリームが売れた」のか、1つの結果に影響を及ぼす可能性のある原因は多数あります。

相関関係を見つけ出すのは比較的簡単ですが、そこから因果関係を見つけ出すのはなかなか難しいことだと思います。

レビュー書籍 / 参考文献

- 山口慎太郎「「家族の幸せ」の経済学」光文社新書
- 伊藤公一朗「データ分析の力 因果関係に迫る思考法」光文社新書