目次(まとめ)

◾️ チェビシェフとはロシアの数学者

◾️ チェビシェフの不等式とは、平均からズレる確率についての不等式

◾️ チェビシェフの不等式は、マルコフの不等式を使って証明できる

◾️ 参考文献


こんにちは、みっちゃんです。

今回の記事では「確率収束」という概念に注目し、確率がどのような値に収束するかを表す有名な不等式「チェビシェフの不等式」を解説します。

チェビシェフとはロシアの数学者

パフヌーティー・リヴォーヴィッチ・チェビシェフ(Pafnuty Lvovich Chebyshev)は、19世紀のロシアの数学者です。

今回の記事で紹介する「チェビシェフの不等式」など、さまざまな業績をあげた数学者ですが、Wikipediaによると、月面には、チェビシェフの名前をもつクラーターが存在するそうです。

チェビシェフの不等式とは、平均からズレる確率についての不等式

チェビシェフの不等式とは、確率変数 \(X\) について、以下のように表現されます。
$$P(|X - \mu| \geq k) \leq \frac{\sigma^2}{k^2}$$
ここで、\(\mu = E[X]\)、\(\sigma^2 = {\rm Var}(X)\) です。

例えば、\(\mu = 0, \sigma^2 = 1\) のときを考えてみると、以下のような不等式が得られます。
$$P(|X| \geq k) \leq \frac{1}{k^2}$$
\(k = 2\) で考えると、確率変数 \(X\) の実現値について、\(k\) より大きくなるのは25%以下であり、実現値の少なくとも75%は \(k\) より小さくなるということを示しています。

チェビシェフの不等式は、マルコフの不等式を使って証明できる

マルコフの不等式とは、以下のようなものです。
$$P(Y \geq c) \leq \frac{E[Y]}{c}$$
ここで、\(Y\) は非負の確率変数、\(c > 0\) です。

\(Y = (X - \mu)^2\) とすると、 \(E[Y] = E[(X - \mu)^2] = {\rm Var}(X)\) 、また \(c = k^2\) とすると以下のようになります。
$$P((X - \mu)^2 \geq k^2) \leq \frac{{\rm Var}(X)}{k^2}$$
よって、チェビシェフの不等式が証明されます。

参考文献

久保川達也「現代数理統計学の基礎」共立出版