こんにちは、みっちゃんです。

今回の記事では、有名科学誌であるネイチャー(Nature)から以下の記事を紹介します。

※記事のエッセンスだけ抜き出して初心者向けに紹介していますので、内容の詳細に興味がある方は(当然ですが)原著論文をご参照ください。

紹介記事(Reference)
Saini, A., Want to do better science? Admit you’re not objective, Nature 579, 175 (2020).


今回の記事では、少し研究者の倫理教育に近い内容でありますが、研究者が担う「科学」が「社会」にさまざまな影響を及ぼすということについて言及している記事を紹介します。

目次(まとめ)
- 世界的有名大学には、人種差別主義者の名前がいまだに残っている
- 科学者は、自らの学問領域でさえ、その歴史に興味をもっていない
- 科学者は、自らの研究が社会に及ぼす影響について考える必要がある

世界的有名大学には、人種差別主義者の名前がいまだに残っている

世界有数の大学であるユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL: University College London)では、 イギリスの人類学者であるフランシス・ゴルトン(Sir Francis Galton)に関連する基金(100万円以上)が大学の財源になり続けています。

フランシスさんは、 人間を人為的に選択することにより、イギリス社会を改善できると信じた人種差別主義者であり、1904年にこの大学で優生学記録オフィスを設立しました。

当然、現代において、フランシスさんが主張したことは受け入れられませんが、この大学には、 フランシスさんの名前を冠した講堂や建物がいまだに残っているという問題があります。

大学側は、これらの建物の名前を変えるように勧告をしているようですが、現代まで、フランシスさんの名前が息づいてきたのは事実であり、その影響は計り知れません。

科学者は、自らの学問領域でさえ、その歴史に興味をもっていない

科学が政治的になりうるということを認識し損ねてしまうと、科学コミュニティは「人種差別」につながるような危険なアイデアを復活させてしまう危険性があります。

2019年9月の哲学イベントにおいて、著者らは、非ヨーロッパ文化と非ヨーロッパ人の科学や数学への貢献について講演を行いました。

その時、ある科学者(ヨーロッパ人)が、アフリカ(非ヨーロッパ)の国々で起こったことについては、知る必要がないと述べ、聴衆は衝撃をうけたようです。

つまり、この科学者が受けてきた教育の中で、彼が何を学ぶべきことを教育してこなかったという問題があるということです。

科学者は、自らの学問領域でさえも、その歴史に興味をもっていないのが現実です。

科学者は、自らの研究が社会に及ぼす影響について考える必要がある

近年では、顔認証などの新しい技術が開発されていますが、自動化した顔認証システムが暗い肌の人々を認識する際に不具合を示すという問題が生じたりして、人種的、または性的な固定観念を長引かせてしまっています。

科学者は、自らの研究が社会に及ぼす影響について真面目に考える必要があります。

その際には、自然科学だけでなく、歴史科学や社会科学などの知識も必要となります。

幅広く知識を集めることが重要ですね。

英語学習者向けのメモ

*objective:客観的な
*revive:蘇らせる
*discredited idea:疑わしい見解
*in isolation from 〜:〜から切り離して
*leading:有数の
*eugenics:優生学
*pseudoscience:疑似科学
*inquiry into 〜:〜に関する調査
*racist:人種差別主義者
*coffer:財源
*line 〜:〜を満たす
*geneticist:遺伝学者
*acknowledge:認める
*resurrection:復活
*political vacuum:政治空白
*fallacy:誤った考え
*value:評価する
*interrogate:詮索する
*discipline:学問領域
*ethics:倫理学
*perpetuate:長続きさせる
*stereotype:固定観念