この記事では、昨年お亡くなりになった中村哲医師が、数年前に講演された言葉を紡いで記事にして、共有したいと思います。
目次(まとめ)
- 用水路が命をつなぐ
- アフガニスタンの農民は石を積み上げるのが得意
- 若い人はマニュアルにとらわれないように
- 参考文献
用水路が命をつなぐ
ここでは、''用水路''のことから話を進めていきたいと思います。
広辞苑によると''用水路''とは、「せきやポンプで河川から取水し、主に農業用水に配水する水路」とされています。
雨が降ると「いい天気ですね」となるほど、炎天下(~52℃)のアフガニスタンは乾燥しています。
乾燥により農業ができなくなると、麻薬や売春など悪い仕事に手をつけてしまうという悪循環に陥ります。
また、アフガニスタンは不幸にも、さまざまな国々に攻め込んでこられた国であることから、国土は荒廃してしまっています。
用水路は、市民生活に水を供給し、植物を育み、気温を10℃以上下げることを可能にします。
加えて、用水路を使った"排水"機能も重要であり、感染症が広まるリスクを下げることを可能にします。
まさに、用水路が命をつないでいます。
アフガニスタンの農民は石を積み上げるのが得意
中村哲医師らのグループは、長年の努力によって、全長30kmほどにおよぶ用水路を作りました。
これは、15万人もの命を救える計算になります。
このような計画を実行するのは、当然ながら、簡単ではありません。
また、作ったとしても、維持・メンテナンスをするのは非常に難しいです。
なぜなら、現地には、そのような作業を請け負える事業に取り組める業者もいなければ、お金もないからです。
ところが、アフガニスタンの農民は、石を積み上げるのが得意です。
そう言われてみれば、屋台で小さい果物などが几帳面に積み上げられている様子を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今後、石の熟練工であるアフガニスタンの方々が、思うがまま石を積み上げ、用水路が伸びていき、平和な時代になればいいと思います。
若い人はマニュアルにとらわれないように
中村哲医師は、日本はマニュアルが多い、と指摘されていました。
確かに、マニュアルがあれば、とりあえず従って責任逃れができるので、マニュアルが増えているんだろうと思います。
若者は、やり直しがきくので、間違いを恐れず、生きてほしいものです。
参考文献
中村哲「アフガニスタンの診療所から」筑摩書房
中村哲医師が亡くなられた後、増刷されて本屋さんの目のつくところに並ぶようになってきました。本記事では、中村哲医師の言葉をほんの一部紹介したに過ぎないので、是非この機会に、読んでみてください。