目次(まとめ)
◾️ 化学平衡は、可逆的に起こる化学反応が見かけ上バランスをとっている状態
◾️ さまざまな平衡反応に対する解離定数がわかっている
◾️ 参考文献
こんにちは、みっちゃんです。
今回の記事では、化学平衡について紹介して、さまざまな平衡反応に対する解離定数を紹介します。
化学平衡は、可逆的に起こる化学反応が見かけ上バランスをとっている状態
いま、化学種(chemical species)である \({\bf A}\) と \({\bf B}\) が化学反応を起こして、別の化学種 \({\bf C}\) と \({\bf D}\) になる状況を考えます。
$${\bf A} + {\bf B} \rightleftharpoons {\bf C} + {\bf D}$$
ここで矢印 "\(\rightleftharpoons\)" は、化学反応が可逆的に起こる(右向きの反応も左向きの反応も起こる)ことを意味しています。つまり、以下の2つの反応が起こるということです。
$${\bf A} + {\bf B} \rightarrow {\bf C} + {\bf D}\\{\bf A} + {\bf B} \leftarrow {\bf C} + {\bf D}$$
例えば、水(\({\rm H_2O}\))が水素イオン(\({\rm H^+}\))と水酸化物イオン(\({\rm OH^-}\))に分かれる反応と、逆に、水に戻る反応を考えると、以下のように表現できます。
$${\rm H_2O} \rightleftharpoons {\rm H^+} + {\rm OH^-}$$
当然、水が常にイオンに分かれてしまうと、水がなくなってしまうので、常に、水が生成される反応も起こっています。
つまり、右向きの反応(\(\rightarrow\))と左向きの反応(\(\leftarrow\))は、常にバランスを保ちながら起こっていることになります。
これを「化学平衡(chemical equilibrium)」といいます。
また、この化学平衡状態にあるとき、それぞれの化学種の濃度は「定常状態(steady state)」にあるといいます。
例えば、カギ括弧("[" と "]")を使って、\({\bf A, B, C, D}\) の濃度を \({\bf [A], [B], [C], [D]}\) と表現すると、化学平衡は以下のように表現できます。
$$\frac{{\bf [C]}{\bf [D]}}{{\bf [A]}{\bf [B]}} = 10^{-pK}$$
ここで、\(10^{-pK}\) は「解離定数(dissociation constant)」と呼ばれます。
さまざまな平衡反応に対する解離定数がわかっている
解離定数の値は、平衡反応によって決まっており、以下の表にまとめた値になります。
反応 | \(pK\) | 解離定数 |
\({\rm H_2O} \rightleftharpoons {\rm H^+} + {\rm OH^-}\) | 14 | \(10^{-14}\) |
\({\rm HCO_3^-} \rightleftharpoons {\rm H^+} + {\rm CO_3^{2-}}\) | 10.33 | \(10^{-10.33}\) |
\({\rm H_3BO_3} \rightleftharpoons {\rm H^+} + {\rm H_2BO_3^-}\) | 9.3 | \(10^{-9.3}\) |
\({\rm HSO_3^-} \rightleftharpoons {\rm H^+} + {\rm SO_3^{2-}}\) | 7.21 | \(10^{-7.21}\) |
\({\rm H_2CO_3} \rightleftharpoons {\rm H^+} + {\rm HCO_3^-}\) | 6.35 | \(10^{-6.35}\) |
\({\rm NH_3} + {\rm H_2O} \rightleftharpoons {\rm NH_4^+} + {\rm OH^-}\) | 4.74 | \(10^{-4.74}\) |
\({\rm HSO_4^-} \rightleftharpoons {\rm H^+} + {\rm SO_4^{2-}}\) | 1.9 | \(10^{-1.9}\) |
\({\rm H_2SO_3} \rightleftharpoons {\rm H^+} + {\rm HSO_3^-}\) | 1.77 | \(10^{-1.77}\) |
\({\rm HNO_3} \rightleftharpoons {\rm H^+} + {\rm NO_3^-}\) | -1.0 | \(10^{1.0}\) |
\({\rm H_2SO_4} \rightleftharpoons {\rm H^+} + {\rm HSO_4^-}\) | -3.0 | \(10^{3.0}\) |
\({\rm HCl} \rightleftharpoons {\rm H^+} + {\rm Cl^-}\) | -3.0 | \(10^{3.0}\) |
参考文献
J. Harte「環境問題の数理科学入門」シュプリンガー・ジャパン株式会社