目次(まとめ)

◾️ 故障率を表す関数を確率密度関数と分布関数を使って表現する

◾️ ワイブル分布の確率密度関数、平均、分散

◾️ 参考文献


こんにちは、みっちゃんです。

以前の記事で、正の値を示す確率変数の分布の代表格である「ガンマ分布」の1つである「指数分布」を紹介しました。

今回の記事では「指数分布」と関連が深い「ワイブル分布」について紹介します。

どちらの分布も、故障率関数によって表現することができること、指数分布とワイブル分布の違いに注目して解説します。

故障率を表す関数を確率密度関数と分布関数を使って表現する

\(x\) という時点まで動いていたものが、次の瞬間に故障する確率密度関数は、故障率関数(ハザード関数)と呼ばれ、以下のように与えられます。
$$\lambda (x) = \frac{f(x)}{1 - F(x)}\qquad (*)$$
ここで、\(f(x)\) は連続型確率変数 \(X\) についての確率密度関数、\(F(x)\) は \(P(X \leq x)\) であり、\(X\)が\(x\)(すべての実数)以下の値をとる確率です。

また、確率密度関数と(累積)分布関数との間には、以下のような関係があります(詳細はこちらの記事をご覧ください)。
$$f(x) = \frac{d}{dx} F(x)$$
したがって、\((*)\) 式の分子が分母の微分形式になっていることに注目して、\(0\) から \(x\) の範囲で積分すると、以下のようになります。
$$\int_{0}^{x} \lambda (t) dt = \left[ -{\rm log}(1 - F(t)) \right]^x_0 = -{\rm log} (1 - F(x)) - (- {\rm log}(1 - F(0)))$$
この式を \(F(x)\) について整理すると、以下の関係が得られます。
$$F(x) = 1 - {\rm exp} \{-\int_{0}^{x}\lambda(t)dt\}$$
\((*)\) 式の関係から、確率密度関数は以下のように得られます。
$$f(x) = \lambda(x){\rm exp} \{-\int_{0}^{x}\lambda(t)dt\}\qquad (**)$$

ワイブル分布の確率密度関数、平均、分散

ワイブル分布は、\(\gamma\) (ワイブル係数)と \(\beta\)という2つのパラメータをつかって表現され、確率密度関数は以下のようになります。

確率密度関数
$$f_X(x | \gamma, \beta) = \frac{\gamma}{\beta} x^{\gamma -1} {\rm exp}\{- \frac{x^\gamma}{\beta}\}$$
この確率密度関数を、上で示した \((**)\) 式と照らし合わせて考えると、ワイブル分布は、故障率関数 \(\lambda(x)\) を \(\frac{\gamma}{\beta} x^{\gamma -1}\) としたときに対応します。

また、平均、分散は以下のようになります。

平均
$$E[X] = \beta^{\frac{1}{\gamma}} \Gamma(1 + \frac{1}{\gamma})$$

分散
$${\rm Var}(X) = \beta^{\frac{2}{\gamma}} \{\Gamma(1 + \frac{2}{\gamma}) - (\Gamma(1 + \frac{1}{\gamma}))^2\}$$
ここで、\(\Gamma (\alpha)\)はガンマ関数と呼ばれる関数で、以下のように定義されます。
$$\Gamma (\alpha) = \int_{0}^{\infty} y^{\alpha -1}{\rm exp}\{-y\}dy$$

一方で、指数分布の確率密度関数は、\((**)\) 式において、故障率関数 \(\lambda(x)\) を \(\lambda\) にしたときに対応します。

これらのことから、指数分布のワイブル分布も故障率関数を使って表現することができ、ワイブル分布の故障率関数において時間 \(x\) を考慮することにより「時間が経つごとに故障しやすくなる」という一般的な現象を反映できるようになっていることがわかります。

参考文献

久保川達也「現代数理統計学の基礎」共立出版

「確率分布」は以下の記事にまとめていきます